1996年 Fashion Design Master`s Program を卒業した泉繭子さんにお話をうかがいました。
マランゴーニに通うきっかけを教えてください。
大学卒業後に就職し、なかなか慣れない仕事を頑張っていた時期がありました。
そんな中、カラーコーディネートの勉強をしたいと考えるようになりました。ミラノどころか留学すら考えていなかったんです。そんな中たまたま叔母に相談をしたんですよ。そしたら若い方は留学をするべきだ、ニューヨークかミラノがいい!いや、ミラノにするべきだ!って言われたんですよ(笑)。留学するなら、カラーコーディネートではなく、次に興味があったファッションのために留学しようかと考え始め、そこから本気でお金を貯めました。その後、本屋さんでたまたま見つけた本に、英語で留学ができる学校があることを知りました。その中でミラノのファッション学校を見つけたんです。速攻で学校に申し込みをしてミラノに渡りました。ところが学校に入学してから、英語で受講できると言われていたのに、イタリア語の授業しか受けられませんでした(笑)。仕方がないのでファッションデザインを学びながら、現地で必死にイタリア語を勉強しました。
どうやって必死でイタリア語を学んだのでしょうか。
とにかく見よう見真似で(笑)。必死に頑張りました。
その後マランゴーニとはどのように出会ったんでしょうか。
ミラノで生活をしていると、いろんな人になぜイタリアにいるのか、何を勉強しているのかとにかく聞かれました。ファッションデザインを学んでいると伝えると、ほとんどの方が「Istituto Marangoniで学んでいるのか」と言われるんです。私が通っていた学校を伝えると、誰も知らない。マランゴーニがイタリアでは一番有名だと、ようやく知ったんです。それからIstituto marangoniを調べて、直接学校に赴き、マスターコースを受けてみようと決めました。受からなかったら帰ろうって思ったんです。
マスターコースの試験はどのような試験だったのでしょうか。
試験は「アルマーニのデザインをしてみてください」と言われました。その試験はとにかく印象的で、試験を受けながら「私はファッションデザインをこれからも続けるんだ」という強い気持ちを持ったことを覚えています。おかげさまで合格しました。
マランゴーニの生活はどうでしたか。
本当に今までの勉強の仕方はなんだったんだろうと、強い衝撃を受けました。生徒が皆各国のコンクール1位を取ったことがある優秀な学生ばかりだった。生徒のレベルが非常に高いことに驚きました。あと授業においては、自分で考えないと絶対に進めない。そして意見を伝えたり、間違えてもいいから発言をしないと認めてもらうことができないと感じました。そうした中で、自分のプレゼンテーション能力や深く物を考える力が養われたと感じました。
授業の中で一番衝撃を受けたことは何でしょうか。
生徒同士を競わせるんですよね。講師から一人ずつ呼ばれたときに「この世界は厳しいからもうやめたらどう?」と言われてしまった学生がいた。そんなことを言われたらもちろん落ち込みますが、正直に厳しい感想を先生は学生に伝えるんです。その中で「あなたはやる価値があるからやってみなさい」と言ってもらえたんです。弱いところもたくさん言われたけど、最終的にしっかり評価をしてもらって認めてくれました。
マランゴーニに通ってよかったと感じたことは何でしょう。
自分の言葉で自分の気持ちをしっかり伝えられるようになったこと、その考えをもとにファッションデザインに取り組むという流れを学べたこと。またイタリアでの生活の中で、イタリア人の人生を大事にする生き方や愛を学ぶことができた。その生き方がイタリアのファッションデザインにも影響をする。
イタリアで生活をしている人々の精神や考え方を直接的に教えてもらえたことは、その後の私の人生全てに良い影響を与えてくれましたね。
お世話になって先生ですが、プラダをさらっと着こなしていたファッション業界人らしい先生(笑)。そういう先生を日常的に見ていると、潜在意識の中にイタリアのDNAが埋め込まれたような気がしました。
卒業後はどうされたのでしょうか。
現地に残って活動しようか悩みました。ただ経済的な部分で悩み、日本に渋々帰国をすることに決めました。日本に帰国後は、卒業制作で制作したポートフォリオで就職活動をし始めました。そんな中、友人の紹介でNHKで子供番組の衣装制作のコンペを紹介してもらった。応募してみたらデザイン画が通り、そこから私の活動の軸が出来上がるきかっけとなりました。
これまでのキャリアについて教えていただきたいです。
番組の服飾に携わるようになる中で、その後もポップジャムという番組のコンペを受けたところデザイン画が通り、舞台の衣装を制作・担当するようになりました。これまで長らく舞台の衣装を制作し、今でも担当しています。
人と人の繋がりはとっても大事だと実感しています。こつこつやることも大事だけど、何よりは人の繋がりがとても大事。そして自分に向いている仕事を見つける喜びもとっても大事なこと。これまでの経験を通して、好きなことを必死にやって、お金を稼げる喜びも知り得ました(笑)
努力して本当によかった、マランゴーニに出会い学べたことが、今の自分のすべてを作っている思っています。
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